小さな丸テーブルを真上から見る。縁まで皿で埋まっている。赤羽の昼の一杯をイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)
赤羽は改札を抜ける方向で街の顔が変わる。5路線が集まる駅の東口1分に飲食店約100店、その外側に商店街が層になっている——駅前から外側へ抜ける順で赤羽の昼を歩く記事。
赤羽は、改札を抜けた方向で街の顔が変わります。JR赤羽駅には5つの路線が乗り入れ、東口を出て徒歩1分のところに飲食店が約100店。その外側に商店街が何本も重なっています。出張でひとり、昼12時から16時前までの4時間を、駅の西から東へ、駅前から外側へという順で歩きました。
東口から徒歩1分に約100店。まず端まで歩いて戻る
東京都の公式観光サイトによると、赤羽1番街商店街はJR赤羽駅東口から徒歩1分。狭い路地に居酒屋やバルが軒を連ね、飲食店は約100店あります。日中から営業する店も多く、昼過ぎからお酒が楽しめる通りで、常連客が昼下がりに1杯やっている姿も珍しくないと公式が書いています。
最初にやるのは、端まで歩いて戻ること。いきなり暖簾をくぐらないほうがいい。約100店のうち、この時間に開いているのは一部で、開いている店と閉まっている店が交互に並びます。歩くと二つ分かります。店の種類が外から読めること。立ち飲みか座るか、何を出す店か、間口と貼り紙で大体つきます。もう一つは混み具合で、昼12時台はまだ席が残っています。
路地は人がすれ違える程度の幅です。昼でも上を見上げると軒が近く、灯りが点いている店の前だけ足元が明るい。ひとりなら、気になる店の前で何度足を止めても誰も待たせません。

人の多い広い駅前広場。駐輪場のそばで話す二人、店先をのぞく人、袋を提げて歩く二人、荷物を担ぎ直す人がそれぞれの方向へ動く。駅前から外側へ層になっている街をイメージした生成ビジュアル
なぜ駅前1分に100店なのか。赤羽駅は1885年開業の乗換駅
端まで歩いて戻ってくると、この密度の理由が気になります。JR東日本によると、赤羽駅の開業は明治18年(1885)3月1日。現在は宇都宮線(東北線)・高崎線、京浜東北線、埼京線、湘南新宿ラインが乗り入れています。東京都の公式観光サイトでは、新宿から約20分、東京駅から17〜30分と案内されています。乗り換える人の流れが長く集まってきた駅です。
その流れの受け皿が、駅前に層になっています。北区が公開している商店街マップ(令和8年4月1日時点、産業経済文化部産業振興課)には、赤羽1番街商店街振興組合、赤羽スズラン通り商店街振興組合、赤羽中央街商店街振興組合、赤羽東口駅前通り商店街振興組合が続けて載っています。駅の周りに、別々の名前を持った通りがいくつも並んでいるということです。
順番としては、飲み屋街だけの街ではなく、人が住んでいる街の駅前に飲み屋街が付いています。宿は赤羽西1丁目で、JR赤羽駅西口から徒歩2分。西口は宿と生活の側、東口が飲食の側です。改札を抜ける方向を変えるだけで、街の性格が入れ替わります。
一軒目は立ったまま。一杯で出て、会計は崩した1000円札で
東口の側に戻って、飲食の側から始めます。一軒目は路地に面した立ち飲みにします。入って驚くのは、客の重心が全員同じ高さにあることです。椅子がないので誰も落ち着かず、そのぶん出入りが速い。
1人客の作法はこうです。長居しない。1杯だけで出る。回転が速い店では、それが正しい。初めての街の店で1番まずいのは居座ることで、一杯で出れば、次に来たときに顔を覚えられています。同じ街に何度も来るなら、1回目が2回目を決めます。

立ち飲みの使い込んだ木のカウンター。飲みかけのグラスと小皿が一つ。グラスに水滴がつき、一滴が木へ向かって落ちていく。もう輪の跡がついている。一杯で出る店の高さをイメージした生成ビジュアル
OK横丁は、外から中が見える店を選ぶ
1番街から一本入るとOK横丁です。東京都の公式観光サイトは、1番街とOK横丁を並べて紹介していて、どちらも昼下がりから多くの人で賑わい、赤提灯が灯るアットホームな雰囲気で、客同士で仲良くなることもできると書いています。
間口の狭い店が肩を寄せて続きます。正面から人が来ると体を斜めにしないと抜けられない幅の路地もあります。ここで二軒目を決める基準は一つ、外から中が見えること。狭い店は入ってから満席だと分かると気まずいので、入口で席が確認できる店にします。
そして二軒目までにします。3軒目に行くと夕方まで飲むことになる。それは別の日でいい。
この種の店はカードが使えないところがあります。両替は店でせず、駅前で1000円札を数枚に崩してから入ります。立ち飲みの会計は後ろが詰まるので、細かい金を持っている客のほうが早く出られます。これは1度、後ろに3人並ばせてから覚えました。
上限も決めておきます。私は飲み代を3000円で切ります。金額そのものより、そこで切り上げる理由ができることが目的です。翌日も仕事がある日に、決め手がないまま飲み続けるのが1番よくない。

小さな店が肩を寄せて並ぶ細い路地。軒が頭の上で触れそうに近い。開いている店と閉まっている店が交互に並ぶ路地をイメージした生成ビジュアル
外側の通りへ抜けて、明るいうちに駅へ戻る
最後は飲み屋街から外側の商店街へ出ます。マップに並んでいた通りを、飲食の側から生活の側へ順に抜けていく歩き方です。八百屋や日用品の店の前を通ると、歩く速さが自然に一定になります。酔いをさますのはこの区間です。
時間の切り方には根拠があります。国立天文台の暦によれば、東京の10月の日の入りは1日が17時26分、31日が16時47分。ひと月で40分近く早まります。昼12時に入って16時前に出れば、日が落ちる前に部屋へ戻れて、その日はまだ何かできます。
赤羽は改札から1分で始まる街なので、終わりも駅から1分です。通りを往復して、一軒目で立って飲み、二軒目で座り、外側の通りを抜けて帰る。間口の広い街で、初めてでも入れます。ただし、通りを見ないまま奥へ入ると迷います。
この街の歩き方
| 宿(北区赤羽西1丁目) → JR赤羽駅西口 | 徒歩2分 |
|---|---|
| JR赤羽駅東口 → 赤羽1番街商店街 | 徒歩1分 |
| 赤羽1番街商店街の飲食店 | 約100店 |
| 新宿 → 赤羽(JR) | 約20分 |
| 東京駅 → 赤羽(JR) | 17〜30分 |
| 10月の日の入り(東京) | 1日17時26分/31日16時47分 |
