屋根のある商業施設の店先で、女性が受け取った包みを手に、年配の店主と言葉を交わしている。白い柱とガラスの天窓、タイルの床。神戸・新長田の再開発の商店街をイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)

新長田の駅前の街区は阪神・淡路大震災の焼失範囲を組み直したもので、復興事業の完了は2024年。被害と事業完了年の数字を先に読んでから、直線の区画と地元商店街が立ち上げた公園を朝の30分で歩く記事。
新長田の駅前にある街区は、震災のあとに組み直されたものです。神戸市長田区の記録では、震災復興土地区画整理事業が2011年に完了し、震災復興開発事業の完了は2024年。つい最近できあがった街です。ひとり旅の朝、この新しい区画を30分だけ歩きました。

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1995年、区内の全半焼は約30ヘクタール。市内の約6割がこの区に集まった

長田区の公式ページに、阪神・淡路大震災の被害が数字で載っています。地震で直接921名が犠牲になり、家屋は全半焼が4,772棟・約30ヘクタールで、これは市内の全半焼の約6割。全半壊は23,803棟で、市内の全半壊の約2割です。

人の数も残っています。1995年10月1日の区内人口は96,807人で、1967年の45%でした。

この数字を先に知っておくと、街の見え方が変わります。駅前の建物がそろって新しいのは、街の好みではなく、焼けた面積の結果です。約30ヘクタールという広さは、歩くと実感になります。

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2011年に区画整理、2024年に開発事業が完了。区画は直線で、見通しが遠い

焼けたあと、この区画がいまの形になるまでに何年かかったのか。長田区の「ながたの歴史」には、1995年の震災、2011年の震災復興土地区画整理事業完了、2024年の震災復興開発事業完了が並んでいます。区画整理から開発事業の完了まで、さらに13年かかっています。

歩くと分かるのは、道が直線で、交差点の先まで見通せることです。古い下町の道は曲がって先が見えませんが、ここは組み直された区画なので、次の角の向こうがもう見えています。朝、まだ人が少ない時間だと、自分の足音が届く範囲がそのまま見通しの範囲になります。

同じ区の北側へ歩けば、焼けなかった区域の細い道が残っています。直線の区画と曲がった道の境目は、そのまま焼失した範囲の境目でもあります。

組み直された平らな街区を、広い直線の道が貫く

組み直された平らな街区を、広い直線の道が貫く。交差点の先まで視界が通る。同じくらい新しい中層の建物が整然と並び、一階が店、上が住まい。次の角の向こうがもう見えている区画をイメージした生成ビジュアル

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駅前は1977年から。地下鉄が通って、駅前ビルが建った

区画が新しいといっても、駅前が街の中心になったのは震災より前からです。長田区の記録では、1977年に神戸市営地下鉄西神線の新長田〜名谷間が開通し、新長田駅前ビルが完成しています。

地下鉄が来て駅前ビルが建ち、震災で焼けて、29年かけて組み直された。駅前の一区画に、その三つの層が重なっています。

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アスタくにづか。再開発でできた建物に、地元の企画が入っている

その三つめの層にあたるのが、駅前に続く建物の列です。再開発でできた建物は「アスタくにづか」と呼ばれ、番館で区別されています。神戸観光局の施設情報では、KOBE鉄人三国志ギャラリーの所在は「アスタくにづか6番館東棟1」、長田区二葉町6-1-13。営業は土日祝のみで、入館料は大人200円、小学生100円です。

平日の朝に歩くなら閉まっています。土日祝に来るなら、ここを先に時間割に入れるほうが早いです。

番館という呼び方そのものが、再開発でできた建物の並びを示しています。1棟の商業ビルではなく、番号で続く建物の列。歩くと、街区の単位がそのまま建物の単位になっていることが分かります。

屋根のある商店街で、店先のシャッターが半分まで引き上げられている

屋根のある商店街で、店先のシャッターが半分まで引き上げられている。波板には擦り傷があり、引き上げ棒は手で擦れて光る。開く時刻の店先をイメージした生成ビジュアル

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若松公園。行政ではなく、地元商店街の側から出てきた場所

番号で続く建物の外に、もう一つ地元の側から出てきた場所があります。長田区の公式ページによると、若松公園は長田区若松町6丁目3にあります。2009年10月にこの公園でモニュメントが完成し、震災復興と地域活性化のシンボルとしての期待を託して作られたもので、地元商店街などが中心となってNPO法人KOBE鉄人プロジェクトを立ち上げた、と書かれています。

読んで意外だったのは、行政が観光のために置いたのではない、という点です。焼けた街区の商店街が、復興のあとに人を呼ぶ仕掛けを自分たちで立ち上げた。2011年の区画整理完了より前に、その動きが先に始まっています。

朝の公園には人がほとんどいません。犬を連れた人が通り過ぎるだけです。ベンチの座面は冷たくて長くは座れませんが、区画の広さを立って見るには、この時間がいちばん静かです。

小さな公園

小さな公園。淡い色の舗装の広場に木が数本、縁にベンチが二つ、隅に芝。広場の途中で、ひもをゆるめたまま立つ人のそばで犬が木の根元を嗅いでいる。朝のいちばん静かな時間をイメージした生成ビジュアル

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三宮から電車で10分以内。朝の30分で足りる

長田区の資料は、この区を三宮から電車で10分以内の立地としています。神戸の中心部に泊まっていても、朝の早い時間に往復できる距離です。

やったのは駅前の区画を歩いて公園まで行って戻っただけです。それでも、新しい建物の並びが何の結果なのかは分かりました。

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この街の歩き方

三宮 → 長田区電車で10分以内(神戸市長田区の資料)
若松公園長田区若松町6丁目3/モニュメント完成は2009年10月
アスタくにづか6番館東棟1長田区二葉町6-1-13/KOBE鉄人三国志ギャラリーは土日祝のみ・大人200円・小学生100円
震災復興の事業2011年 土地区画整理事業完了/2024年 震災復興開発事業完了
1995年の区内被害全半焼4,772棟・約30ヘクタール(市内の約6割)/全半壊23,803棟