天然芝のグラウンドの端から、地面すれすれの高さで見る。レンズのすぐ先から芝が走り出し、白線を引いた面が隣へ隣へと並んで奥まで続く。楢葉のサッカー施設をイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)
昭和31年に木戸村と竜田村が合併してできた楢葉町を、49ヘクタールの芝(1997年開設・2019年全面再開)と国内有数の鮭が上る木戸川という、二つの土地の使い方からたどる記事
楢葉町は昭和31年に木戸村と竜田村が合併してできた街です。面積は103.65平方キロ、東西13キロ、南北11キロ。町名は平安時代の書物にある「楢葉郷」という地名に由来します。この街には49ヘクタールの芝と、国内でも有数の鮭が上る川があります。出張の合間に1日空いたので、ひとりで1泊しました。使えるのは今夜と、翌日の昼前までです。
最寄りは木戸駅ではなくJヴィレッジ駅。ここから徒歩5分
Jヴィレッジの公式に書かれている行き方は「JR常磐線Jヴィレッジ駅より徒歩5分」です。Jヴィレッジ駅は木戸駅とは別の駅で、木戸駅から歩き出しても着きません。これから行く人は駅名を先に確かめてください。
東京駅からJヴィレッジ駅までは約2時間45分、仙台駅からは約2時間30分。車なら常磐自動車道広野インターから約5分で、駐車場は合計755台、うち大型が25台です。改札から芝までが5分しかないので、着替えを抱えた人の流れがそのまま施設へ入っていきます。
49ヘクタールに天然芝8面。東京ドーム10個分の敷地
その流れに混ざって、敷地へ入りました。楢葉町の案内では、施設面積は東京ドーム10個分となる49ヘクタールに及び、観客席付スタジアムを含めて天然芝ピッチが8面、人工芝ピッチが2面あります。ほかに全天候型サッカー練習場、雨天練習場、ホテル(総客室数200)、フィットネスジム、アリーナ、プールが入ります。
芝は端まで見通せません。刈り跡が縞になっていて、光の当たる向きで色が2段に分かれて見えます。面と面のあいだには通路があり、隣の面の笛と声が重なって届きます。街の案内は、東北にありながら温暖な気候で冬季も雪の影響を受けず、年間を通してサッカーができる土地だと説明しています。

天然芝の面がいくつも横に並ぶ。刈り跡が幅広の縞になって、光の向きで緑が二段に分かれる。面と面のあいだに通路が走り、手前の面にゴールが立つ。端まで見通せない広さをイメージした生成ビジュアル
1997年7月に日本初のナショナルトレーニングセンター、2019年4月に約8年1か月ぶりの全面再開
この広さと気候が、いつからここにあるのか。施設の公式に年表が出ています。1996年5月に株式会社日本フットボールヴィレッジが設立され、1997年7月に「日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設」されました。2002年4月にはサッカーのアルゼンチン代表が大会キャンプ地として約1か月滞在し、2006年5月にはドイツワールドカップを戦う日本代表の最終合宿地になっています。
2011年3月の項にはこう書かれています。「福島第一原子力発電所の事故対応拠点という新たな使命が与えられました」。そのあと2018年7月に施設一部営業再開、同年9月に全天候型練習場営業開始、2019年4月に「約8年1か月ぶりに全面再開」。年表に書いてあることを、そのまま読みました。
避難指示の解除は2015年9月5日。全面再開はその3年7か月あと
この8年のあいだに、街の側でも年表が進んでいます。楢葉町の公式には、2011年3月11日に東日本大震災で全町避難、2012年8月10日に警戒区域解除、2015年9月5日に避難指示解除と記録されています。施設の全面再開は2019年4月で、避難指示の解除から3年7か月あとになります。
年表と街の記録は、同じ8年をそれぞれの側から書いています。書けるのは見たものだけです。日曜の午前に電車が走っていて、芝の上でチームが練習していました。
木戸川は国内でも有数の鮭捕獲数。簗場は前原字中川原
同じ街の案内には、芝のほかにもう一つ名前が出ています。街の観光案内で、この施設と並んで載っているのが木戸川鮭簗場です。「国内でも有数の鮭捕獲数を誇り、鮭溯上の時期になると多くの観光客が訪れます」と書かれています。所在地は楢葉町大字前原字中川原68番地。
芝が49ヘクタールの平らな面なら、木戸川は街を横に切る線です。鮭が上る時期には、ここに人が集まります。合併前の村の名と川の名が同じ「木戸」であることも、駅の名前に残っています。

平らな谷底を、浅く幅の広い川が渡っていく。広い河床に淡い砂利の州が散る。低い草の土手に、上着姿の人が離れて立ち、水を見下ろす。街を横に切る線をイメージした生成ビジュアル
さつまいもは震災後の農業再生の柱として広がった
川のほかに、街が震災後に増やしたものがもう一つあります。特産品のページには、さつまいもが震災後の農業再生の柱として栽培を拡大した作物だと書かれています。干し芋は「紅はるか」を使い、鮮やかな黄金色と柔らかくしっとりとした食感が特徴だとあります。
ほかに、ゆずと、街の6次化施設で作る「感謝のゆずぽんず」などの3種類の商品、街でとれた酒米「夢の香」を姉妹都市である会津美里町の酒蔵で醸造した日本酒「楢葉の風」が並びます。海側には、太平洋が一望できる天神岬スポーツ公園もあります。
芝と川と畑と海。街の案内は、この土地の使い方を四つ並べています。そのうち芝の上だけが、日曜の午前に実際に見たものです。

小さな物産店の中。木の盆に、艶のある深い黄金色の干し芋が積まれている。反ったもの、厚いものが混ざり、切り口はしっとりと柔らかい。震災後の農業再生の柱になった作物をイメージした生成ビジュアル
この街の歩き方
| Jヴィレッジ駅 → Jヴィレッジ | 徒歩5分 |
|---|---|
| 東京駅 → Jヴィレッジ駅 | 約2時間45分 |
| 仙台駅 → Jヴィレッジ駅 | 約2時間30分 |
| 常磐自動車道広野IC → Jヴィレッジ | 約5分・駐車場755台(大型25台) |
| 木戸川鮭簗場 | 楢葉町大字前原字中川原68番地 |
| 天神岬スポーツ公園 | 太平洋が一望・芝生広場・キャンプ場 |
