雨の夜、屋根の下だけが乾いている通り。両側に店の明かりが続き、濡れていない石畳が奥まで光を返す。手前を二人が並んで歩く。札幌・すすきのの屋根付きの通りをイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)
すすきのの夜は、屋根の下と地下に伸びています。創成川の西側、南2条と南3条のあいだに東西約900メートル続く狸小路商店街と、大通駅からすすきの駅まで延長400メートルの地下街ポールタウン。10月の札幌は夜になると冷え、この日は霧のような雨も降っていましたが、はじめての一人旅で、傘は一度も出していません。
狸小路は約900メートル・約200軒。ただし屋根の下を歩けるのは1丁目から6丁目
狸小路商店街は創成川の西側、南2条と三条とのあいだの小路です。1丁目から7丁目までの東西総延長は約900メートル、店舗数は約200軒。ここで先に押さえておきたいのは、屋根の下を歩けるのが全区間ではないことです。1982年(昭和57年)に設置された二代目の現在のアーケードは狸小路1丁目から6丁目で、国道部分を除き、交差する道路の部分も屋根続きになっています。
つまり6丁目までは雨に当たらず、7丁目に入ると空が出ます。雨の夜に端まで歩くなら、6丁目で折り返すか、7丁目のぶんだけ濡れるかの二択です。

屋根のある通りに買い物の人が行き交う。両側の店先に色づいた葉の飾りが下がり、磨かれた床に明かりが長く映る。屋根のある通りをイメージした生成ビジュアル
約200軒が一列に混ざる。数歩ごとに看板の明るさが変わる
歩くと、飲食店の隣に土産物屋があり、その隣に薬局があります。観光客向けの店と地元の人が使う店が、同じ列に混ざっている。数歩ごとに看板の明るさが変わって、白い蛍光灯の前を抜けると、次は赤い提灯の下になります。
この一角が「狸小路」と呼ばれるようになったのは明治6年頃です。札幌のまちづくりが始まって間もない時期から、ここに商いが集まっていました。ただし古いのは通りの位置だけで、屋根も床も入れ替わっています。いま歩いているアーケードは二代目で、初代のときは1丁目から7丁目までが屋根付きでした。
屋根の下は空が見えないので、雨が降っているのかも、何時なのかも分からなくなります。時間を確かめる手がかりが、店の看板の明るさしかありません。

赤い提灯が三つ下がる店の入口。暖簾の向こうに丸椅子が見え、足もとには空の木箱が重ねてある。灯りのともる店先をイメージした生成ビジュアル
食後は創成川公園。狸小路の東の端は、そのまま川の縁
食べ終えて、創成川公園へ。北1条から南4条西1丁目にかけて、川の両側に細長い緑地が続いています。階段で一段下りると、水面のすぐ近くまで行けます。道路より低い位置なので、車の音が頭の上を通っていく。座ると、橋と街灯の灯りが水に映っていました。
屋根の下の賑やかさから、川の高さまで下りるだけで、耳に入る音が入れ替わります。この川は1866年(慶応2年)に大友亀太郎が開削した用水路「大友堀」で、1874年(明治7年)に創成川と改められ、創成橋の東のたもとを起点として街が東西南北に区画割りされました。狸小路の丁目がどこから数えはじまるのかは、この川が決めています。
帰りはポールタウン400メートル。地上に出ずにすすきの駅まで
帰りは地下を使いました。ポールタウンは延長400メートル、大通駅改札前のポール広場から南北線のすすきの駅までつながっていて、地上に出なくて済みます。営業は10時から20時、年中無休です(2026年9月時点)。
このポールタウンには「狸小路クロスポイント」があり、地下の通りが狸小路の下を横切ります。さっき地上で歩いた東西の通りと、いま地下で歩いている南北の通りが、ここで直角に交わっている。床は乾いていて、靴の音がよく響きます。大通駅から東へ伸びるオーロラタウンは延長312メートルで、二本合わせると、大通駅を中心にした十字の通路になります。
店が閉まる20時より前に地下へ下りれば、地上の天気に関係なく戻れます。

天井の低い通路に店のショーケースが並ぶ。鞄を提げた人、足早に抜ける人が、それぞれの速さで通り過ぎる。地上に出ずに歩ける通路をイメージした生成ビジュアル
大通公園まで足を延ばすなら、暗さを先に計算する
地上に出て、大通公園まで行きました。大通西1丁目から西12丁目まで約1.5キロ、約90種4,700本の樹木があります。並木の足元に灯りが仕込んであって、下から照らされた木の形だけが浮かんで見える。枝の影が芝生に伸びていました。
ただし葉の色は分かりません。暗いからです。紅葉の丁目は公園の公式サイトに出ていて、西2丁目のサトウカエデ、西3丁目北側のナナカマド、西4丁目のイロハモミジ、西5丁目西側のイチョウ、西7丁目のユリノキ。色を見たいなら、明るいうちに同じ丁目を一度通っておくことです。夜の大通公園で見えるのは、色ではなく木の形と幅のほうです。
この街の歩き方
| 狸小路商店街(1丁目〜7丁目) | 東西総延長約900m・約200軒 |
|---|---|
| 屋根の下を歩ける区間 | 1丁目〜6丁目(二代目アーケード・1982年設置) |
| 狸小路の位置 | 創成川の西側、南2条と南3条のあいだ |
| ポールタウン(大通駅→すすきの駅) | 延長400m/10:00〜20:00・年中無休 |
| オーロラタウン(大通駅→東) | 延長312m |
| 創成川公園 | 北1条〜南4条西1丁目 |
| 大通公園 西1丁目→西12丁目 | 約1.5km |
雨の夜は、屋根のある1丁目から6丁目の側を東へ歩いて7丁目で折り返すと濡れません。地下街の営業が20時までなので、食後に創成川公園へ下りるなら、その前にポールタウンを通っておくほうが確実です。
