女性が箸で太い平打ちの麺を持ち上げている。澄んだ金色の汁に煮た豚肉と刻み葱、紅白のかまぼこ。湯気が手前に立つ。横浜・鶴見の沖縄そばをイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)

鶴見は、外から移ってきたものが並んでいる街です。約15万坪の禅の大本山は明治時代に横浜へ移ってきた寺で、仲通の沖縄の店は、戦前に京浜工業地帯の工場で働くために移り住んだ人たちの店です。ひとりで、鶴見駅から歩ける範囲だけを午前に回りました。

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鶴見駅から徒歩7分、約15万坪の境内。拝観は10時から

大本山總持寺は横浜市鶴見区鶴見2丁目、JR京浜東北線の鶴見駅から徒歩7分です。境内は約15万坪。拝観時間は10時から16時30分で、受付は16時までです。

この寺は1321年(元亨元年)に諸嶽山總持寺と改められたのが始まりで、明治時代の焼失を機に横浜へ移ってきました。鶴見にあるのは、ここで開かれたからではなく、移ってきたからです。大祖堂は畳千畳分の広さがあります。

参道が長く、両側に木が続きます。掃除をしている人がいて、掃く音が木のあいだで反響しました。足元は踏むたびに音が返ってきて、その音が前のほうへ伸びていきます。約15万坪という数字は聞いてもぴんと来ませんが、参道は歩く速度が自然に落ちる長さです。急いで歩くと、かえって疲れます。

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仲通商店街は「リトルおきなわ」。戦前から、工場で働くために移り住んだ人の街

仲通商店街の周辺には沖縄出身者が多く定住していて、「リトルおきなわ」と呼ばれています。沖縄そばの店、沖縄料理の店、特産品の店が並びます。最寄りは總持寺と同じ鶴見駅です。

なぜ横浜に沖縄の店が並ぶのか。鶴見区の説明では、戦前から京浜工業地帯に立地する工場で働くために、多くの沖縄出身者が移住してきたからです。鶴見沖縄県人会が設立されたのは1953年。観光のためにできた通りではなく、働きに来た人が住み、その人たちのために店ができた、という順番です。だから朝から開いている店があります。

この一帯は、鶴見区の潮田地区を中心に沖縄と南米のコミュニティがあります。歩いていると、看板の文字が日本語だけではなくなります。文字の形だけで、どこの店か見分けがつくようになります。朝の光がまだ低いので、片側の看板だけが明るく、向かいの列は影に入っていました。

毎年8月には、この仲通商店街で道じゅねー(エイサーパレード)が行われます。区が発行している「沖縄タウン鶴見マップ」は20ページの冊子で、区内の沖縄系の飲食店・物産店、芸能、イベントが載っています。

二階三階建ての低い店が続く、まっすぐな商店街

二階三階建ての低い店が続く、まっすぐな商店街。庇と看板が奥まで並び、屋根の線が重なって平らな地平になる。シャッターを引き上げる人、箒で歩道を掃く人。働きに来た人のためにできた通りをイメージした生成ビジュアル

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沖縄県人会館の1階に、沖縄そばの工場がある

おきなわ物産センターは鶴見区仲通3丁目、沖縄県人会館の1階にあります。営業時間は10時から19時で、年中無休。品ぞろえは千点以上です。

ここの特徴は、店に工場が付いていることです。沖縄そばとサーターアンダギーを自社工場で製造しています。地域の小学生の工場見学や、中学生の職業体験も受け入れています。沖縄そばを毎日つくって売り続けられる需要が、この街にあるということです。

開くのは10時なので、それより早く着いても買えません。沖縄そばを受け取ると、袋を持った手が温かいです。袋の内側が曇って、指のあたる面が湿りました。サーターアンダギーは表面が割れていて、そこから湯気が出ています。手に持って外に出ると、10月の空気で湯気がよく見えます。

天井の低い店の中

天井の低い店の中。両側の高い棚に乾麺の袋、瓶の調味料、缶詰、菓子の箱が隙間なく並び、奥の壁に冷蔵ケースが続く。通路の途中で箱を腰に当てた人が、目の高さの棚に品を足している。千点以上が並ぶ店の中をイメージした生成ビジュアル

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潮田公園で、温かいうちに食べる

潮田公園は鶴見区向井町2丁目。野球場とテニスコート3面(ナイター照明あり)があり、コミュニティハウスが隣接しています。有料駐車場は28台分です。

ベンチに座って、温かいうちに食べました。そばの汁が澄んでいます。麺は太く、断面が丸い。噛むと弾力があって、うどんとも中華麺とも違う歯ごたえです。

午前の公園には、犬を連れた人が何人かいました。わたし以外に食べている人はいません。買って広場で食べると、店の中で食べるより街の音が入ってきます。

木のベンチに置かれた丼

木のベンチに置かれた丼。澄んだ金色の汁に、断面の丸い太い麺。箸が麺を少し持ち上げている。脇の皿に、割れ目から湯気の出ている揚げ菓子が二つ。手前から手が一つと袖口だけが入る。買って外で食べる一杯をイメージした生成ビジュアル

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鶴見で見られるのは、理由ではなく店

沖縄の街が横浜にある理由は、区の資料に書かれています。工場で働くために移り住んだ人が集まった、という一行です。

読んで分からないのは、県人会館の1階に工場があって、10時になると温かい麺が出てくること、そしてそれが観光のためではなく、住んでいる人のために続いていることです。寺も人も外から来て、この土地に居ついた。鶴見駅から歩ける範囲に、その両方が並んでいます。

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この街の歩き方

JR鶴見駅 → 大本山總持寺徒歩7分(境内約15万坪/拝観10:00〜16:30・受付16:00まで)
仲通商店街(リトルおきなわ)最寄りはJR鶴見駅・京急鶴見駅
おきなわ物産センター(沖縄県人会館1F・鶴見区仲通3-74-14)10:00〜19:00・年中無休/千点以上/沖縄そばとサーターアンダギーは自社工場製造
潮田公園(鶴見区向井町2-71-1)野球場・テニスコート3面(ナイター照明あり)/コミュニティハウス隣接
仲通商店街の道じゅねー(エイサーパレード)毎年8月

總持寺の拝観と物産センターの開店は、どちらも十時です。先に境内を歩いて、十時に物産センターへ入り、そのまま潮田公園へ向かうと、麺とサーターアンダギーが温かいうちに食べられます。買い物を先にすると、約十五万坪の境内を袋を持って歩くことになります。