炭火で焼き上げた若鶏の半身が、白い楕円の皿に一枚。醤油だれの照りが飴色に光り、手羽から脚までつながったまま湯気を立てる。奥のカウンターにはビールと炭火の赤。旭川の若鶏の半身焼きをイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)

旭川の中心部は、幅の違う二本の道でできています。駅前から8条通まで約1キロ、車が一台も入らない平和通買物公園と、そこから一本入った幅3メートルの小路です。妻と二人、歩くのが速くないので、広い道は日中に歩き、細い小路は夕食の時間に合わせて入ることにしました。

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JR旭川駅から徒歩1分、約1キロ。車が入らないのは1972年から

平和通買物公園は、JR旭川駅から徒歩1分で通りに立てます。駅前から8条通まで約1キロが歩行者専用で、開設は1972年(昭和47年)6月1日。旭川市は「全国初の恒久的な歩行者天国」と説明しています。曜日や期間を限った歩行者天国ではなく、年中この状態です。

歩いて最初に分かるのは幅です。もとは都市を貫く国道の車道で、それを歩行者のための道に変えたため、通常の商店街よりも道幅が広い。旭川平和通商店街振興組合は、1969年の国道遮断の実験を重ねたうえで、東京の銀座より早く恒久的な歩行者専用道路を開いた経緯を記しています。

この幅は二人で歩くときに効きます。どちらかがベンチや彫刻の前で立ち止まっても、もう一方が先に行ってしまわずに済む。車の音は両側の遠いところにあり、通りの真ん中を歩いていると耳に入りません。

石畳の広い歩行者専用道路

石畳の広い歩行者専用道路。手前を学生鞄を背負った生徒が歩き、円いベンチには年配の人が腰かけ、右手では台車で荷物を運ぶ人が通る。奥に丸みのある石の彫刻と、黄色く色づいた並木が続く。歩行者専用の通りをイメージした生成ビジュアル

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駅から車で3分、1910年に開かれた旭川最初の公園は15.85ヘクタール

常磐公園はJR旭川駅から車で3分の距離にあります。1910年(明治43年)3月、旭川市で初めて開設された公園で、面積は15.85ヘクタール。園内には白鳥の池と千鳥ケ池の二つの池があり、千鳥ケ池には水上デッキが張り出し、手漕ぎボートも出ます。

この公園を歩くと、街が後から文化施設をここへ寄せてきたことが分かります。北海道立旭川美術館、旭川市中央図書館、旭川市公会堂、旭川市常磐館が同じ園内にあり、屋外にはブロンズの彫刻が点在します。本郷新の「風雪の群像」、オシップ・ザッキンの「人間の森」、ブールデルの「雄弁」が、池のまわりと広場に置かれています。最初の公園の敷地が、そのまま街の文化施設の集まる場所になったということです。

池の水面には対岸の木立と彫刻が映ります。風が渡ると映った形がほどけて、また元に戻る。低い日ざしが横から当たると、彫刻の片側だけが明るくなりました。

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広い通りから一本入ると、通路は幅3メートルになる

買物公園から一本入った5条通7丁目が、5・7小路ふらりーとです。約1キロの幅広い歩行者空間から入った瞬間、通路の幅は3メートルになります。人がすれ違うのがやっとという細さで、横に並べないので縦に一列で歩くことになります。

この幅には理由があります。ここは戦前、魚菜市場として栄えた場所で、市場の通路がそのまま小路として残りました。その後は焼き鳥屋が多くなり、以前は「焼き鳥横丁」の愛称で親しまれてきたと旭川観光コンベンション協会は説明しています。

現在は焼き鳥、ラーメン、居酒屋、炉端焼きに加えて、ヘアーサロン、酒店、青果店まで、18店舗ほどがこの3メートルを挟んで並びます。飲食店だけの横丁ではなく、市場だった時代の品ぞろえが半分残っている小路です。木の看板が続き、見上げると看板と建物のあいだに空が細く残っていました。炭のにおいがします。

夕日が差し込む細い小路

夕日が差し込む細い小路。湯気の立つ戸口をのぞく人、買い物袋を提げて立つ人がいて、右手に酒瓶のケースと自転車が並ぶ。暖簾の並ぶ細い小路をイメージした生成ビジュアル

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小路の焼鳥専門店は昭和25年創業。新子焼きは若鶏の半身を手羽ごと焼く

においをたどって入った焼鳥専門ぎんねこは、昭和25年創業。住所は5条通7丁目、ふらりーとの中です。たれは創業以来の継ぎ足し、食材は無冷凍の道内産で、炭火で一つずつ手焼きするというのが店の説明で、実際に焼き台の前には人が立ち続けていました。

新子焼きは、若鶏の手羽も含む半身を焼いたものです。「新子」はもともと魚のコハダの幼魚を指す言葉で、旭川では鶏や魚の若いものを新子と呼ぶようになりました。北海道上川総合振興局は、第二次世界大戦後から食べられていた記録が残ると紹介しています。魚菜市場から焼き鳥屋の小路に変わった場所で、半身を丸ごと焼く食べ方が名前ごと残ってきたことになります。

半身はそのまま出てきます。皿の縁まで届く大きさで、皮が張っていて、割ると湯気が上がりました。指で持つと骨のあたりがまだ熱く、持ち替えながら食べることになります。焼き台では串を返す間隔が一定ではありません。火の強い場所と弱い場所に合わせて置く位置を変えていて、同じ動作の繰り返しにはなっていませんでした。

白い皿に、皮に焦げ目のついた鶏の半身が骨ごと載る

白い皿に、皮に焦げ目のついた鶏の半身が骨ごと載る。手前にはビールのグラス、奥に木張りの店内と丸椅子が見える。焼き上げた鶏の半身をイメージした生成ビジュアル

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この街の歩き方

常磐公園は駅から車で3分なので先に片づけ、駅前に戻ってから約1キロの通りを8条通へ下ると、広い道を明るいうちに歩けます。幅3メートルの小路は焼き鳥・ラーメン・居酒屋・炉端焼きが中心なので、食事を小路側に置くほうが一日がつながります。

JR旭川駅 → 平和通買物公園徒歩1分
買物公園(駅前〜8条通)約1キロ・年中車が入らない
JR旭川駅 → 常磐公園車で3分
常磐公園15.85ヘクタール・池は二つ
買物公園 → 5・7小路ふらりーと通りから一本入る(5条通7丁目)
ふらりーとの通路幅3メートル・18店舗ほど