黄と銅色に染まった並木が、まっすぐな遊歩道の上でトンネルになっている。落ち葉が敷石を埋め、ベンチの一つに紙コップを持った人が座る。奥はビルの正面が一列に並んで視界を閉じる。札幌・大通公園をイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)

大通公園の約1.5キロは、公園として設計された線ではありません。1871年(明治4年)、札幌の中心部を北の官庁街と南の住宅・商業街に分けるためにつくられた大規模な火防線——火が燃え広がるのを止める空き地が、そのまま残ったものです。10月に一人で来て、大通に面した宿を起点に、西の端まで歩いて引き返しました。

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西1丁目から西12丁目まで約1.5キロ。幅が広いのは、もとが火を止める空白だから

大通公園は大通西1丁目から西12丁目まで、長さ約1.5キロ。面積は約7.8ヘクタールで、約90種4,700本の樹木があります。地図で見ても歩いても、公園というより、広い道に木を植えたような形をしています。

この幅の理由が1871年(明治4年)の火防線です。公園としての本格的な整備が始まったのは1909年(明治42年)、近代公園の先駆者である造園家・長岡安平を招いた整備計画からで、火を止めるための空白が木の並ぶ帯になるまでに40年近くかかっています。

木と木の間隔が広いのも、この成り立ちの側にあります。足元には落ち葉が溜まっていて、踏むたびに乾いた音がしました。

平らで幅の広い遊歩道が、公園の帯をまっすぐ貫いている

平らで幅の広い遊歩道が、公園の帯をまっすぐ貫いている。両側のイチョウが金色に染まり、木のベンチが一列に並ぶ。芝の向こうは車道で、その先にビルが同じ高さで連なる。火を止めるための空白が公園になった通りをイメージした生成ビジュアル

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紅葉は丁目で分かれている。公式サイトが挙げるのは西2・西3・西4・西5・西7丁目

端から端まで歩くと、木の種類が場所ごとに入れ替わります。公園を管理する札幌市公園緑化協会の公式サイトが紅葉の見どころとして挙げているのは、西2丁目のサトウカエデ、西3丁目北側「牧童の像」近くのナナカマド、西4丁目のイロハモミジ、西5丁目西側のイチョウ、西7丁目のユリノキです。赤を見る丁目と黄を見る丁目が、あらかじめ分かれています。

西5丁目の西側で、イチョウの真下のベンチに座りました。視界の上半分が黄色で埋まります。ベンチはどの丁目にもありますが、座る場所を1丁目ぶんずらすだけで、頭上の色が変わる。一人なら二つ並んで空くのを待たなくていいので、色で選べます。

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西端は大通西13丁目。札幌軟石の壁の前だと、赤がはっきり出る

西の端を越えると、大通西13丁目に札幌市資料館があります。大正15年(1926年)に札幌控訴院として建てられた建物で、2020年12月23日に旧札幌控訴院庁舎として国の重要文化財に指定されました。外壁の石は札幌軟石。札幌の近代を代表する建材による建物としては、現存最大級です。

近づくと壁の表面がざらついています。触ると思っていたより温度が低く、手のひらを離してもしばらく冷たさが残ります。正面の階段の下にも落ち葉が溜まっていて、白っぽい灰色を背景にすると赤がはっきり出ます。木の下で撮るより、石の前のほうが色が立ちました。開館は9時から19時、月曜休館、入館無料です(2026年9月時点)。

ざらついた灰色の石段を真上から見下ろす

ざらついた灰色の石段を真上から見下ろす。真ん中がすり減ってくぼんでいて、赤いカエデの葉が三枚、茶色く反った葉が二枚のっている。白っぽい石の上で赤だけが立つ。白い石を背にすると赤が出る、という場所をイメージした生成ビジュアル

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東端のテレビ塔、展望台は地上約90メートル。歩いた約1.5キロが一本の帯になる

公園の東端まで引き返すと、さっぽろテレビ塔が立っています。展望台は地上約90メートル。1957年8月に開業し、2025年3月13日に国の登録有形文化財として登録されました。営業は9時から22時、大人1,200円です(2026年9月時点)。

上がって西を見下ろすと、さっき歩いた西1丁目から西12丁目までの約1.5キロが、一直線に伸びています。地上では木を一本ずつ見ていたのに、ここからは赤と黄が混ざった帯で、遠くへ細くなっていく。街の区画が公園を挟んで北と南にきれいに分かれているのも、上からだと一目で分かります。火を止める線として引かれたものが、そのまま街の背骨になっています。

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公園を出て創成川へ。東西の丁目は、この川から数えはじまる

テレビ塔の東側に創成川公園があります。北1条から南4条西1丁目にかけて、川の両岸に細長く続く緑地で、護岸の上ではなく水面に近いところまで下りられます。座ると橋と街灯が水に映り、並木の色も実物より少し濃く見えました。

この川が、札幌の住所の東西を決めています。1866年(慶応2年)に大友亀太郎が開削した用水路「大友堀」が、1874年(明治7年)に創成川と改められ、創成橋の東のたもとを起点として街が東西南北に区画割りされました。北と南を分けるのが大通の火防線、東と西を分けるのが創成川。大通公園の東端は、その二本が交わる場所です。

大通公園の広さに対して、こちらは細くて低い。一段下りた分だけ、車の音が頭の上を通っていきます。

水面すれすれの高さから川面を見る

水面すれすれの高さから川面を見る。落ち葉が点々と浮かび、鉄柵と街灯が逆さに映っている。手前は石の縁、左奥は橋の裏側、向こう岸は石積みの護岸で閉じている。水面の近くまで下りられる川べりをイメージした生成ビジュアル

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この街の歩き方

大通公園 西1丁目→西12丁目約1.5km(面積約7.8ha・約90種4,700本)
紅葉の見どころの丁目西2・西3・西4・西5・西7丁目
札幌市資料館(大通西13丁目)9:00〜19:00/月曜休館/入館無料
さっぽろテレビ塔 展望台地上約90m/9:00〜22:00/大人1,200円
創成川公園北1条〜南4条西1丁目

先に西へ端まで歩いて丁目ごとの色を拾い、西13丁目の資料館まで行ってから東端へ引き返すと、テレビ塔から自分の歩いた約1.5キロがそのまま一本の線に見えます。資料館は19時で閉まり、テレビ塔は22時まで開いているので、資料館を先に押さえて、テレビ塔を日が落ちる側へ回すと両方に入れます。