四列のケヤキが頭上で重なり、緑のトンネルをつくる。木漏れ日が遊歩道に落ち、見上げた人の白い服を照らす。両側には車道とベンチ。けやき並木の遊歩道をイメージした生成ビジュアル(実際の現地写真ではありません)
仙台の街なかの緑は、一本の通りでつながっています。定禅寺通のケヤキ並木は、東の勾当台公園と西の西公園を結ぶように植えられた並木です。歩くのが速くない妻と二人、朝食のあとから昼前までの時間で、この約0.71kmを東から西へたどりました。
起点は勾当台公園。藩校の池は、いまも広場の土の下にある
勾当台公園は昭和31年4月1日の開園で、面積は2.69ha。宮城県庁や仙台市役所がある一帯に位置し、市道を挟んで大きく三つに分かれています。園内には野外音楽堂、円形花壇、壁泉、彫刻が緑と組み合わせて配置されています。
ここには仙台藩の藩校・養賢堂がありました。養賢堂は戦災で焼失しましたが、当時の遺跡として残っていた池は、いまの公園整備のなかでそのまま土の下に保全されています。敷石の下に藩校の池がある、と分かって立つと、同じ広場の見え方が変わります。
大きく生長したヒマラヤスギは、昭和50年に仙台市の保存樹林に指定されました。春のサクラ、初夏のツツジ、盛夏のサルスベリ、初秋のミヤギノハギと、花の入れ替わりで季節が読める公園でもあります。

四列のケヤキの下を通る遊歩道。犬を連れた人が歩き、ベンチでは年配の人が水筒を手にし、奥を走る人と車道を渡る人がいる。黄色い落ち葉が路面を覆っている。けやき並木の遊歩道をイメージした生成ビジュアル
定禅寺通の中央緑道へ。ケヤキは4列、彫刻は3体
公園を出て定禅寺通に入ります。車道の中央に緑道があり、仙台市は再整備方針のなかでこれを「美しい4列のケヤキ並木」と書いています。歩ける区間は市道定禅寺通線の約0.71kmです。
緑道には彫刻が3体置かれています。グレコの「夏の思い出」、クロチェッティの「水浴の女」、そして「オデュッセウス」。木と彫刻が交互に現れるので、ケヤキの間隔が目で測れます。見上げると枝が両側から寄ってきて、空が細長く残ります。
色を目当てにするなら、定禅寺通の見頃は11月中旬です。私たちが歩いたのは色が出はじめた時期で、葉はまだ半分ほど緑でした。
この並木が二つの公園を結んでいるのは、昭和21年に決まったから
昭和21年、特別都市計画法が公布され、これに基づいて復興土地区画整理区域、都市計画街路、都市計画公園緑地が決定されました。この戦災復興事業で、青葉通・定禅寺通・東二番丁通などの広幅員の道路と、勾当台公園・西公園が整備されています。仙台市は、このときの無電柱化やけやき並木の植樹が今日の都市景観の基礎になったとしています。
定禅寺通にケヤキが植えられたのは昭和33年。昭和50年には青葉通とともに保存樹林に指定されました。いま見上げる高さは、樹齢60年以上のケヤキが育った結果です。並木が公園から公園へ続いているのは、道と公園を同じ計画のなかで決めたからで、後から緑を足した通りではありません。
「杜の都」という呼び方自体はもっと古く、明治42年に出た『仙臺 松島 塩釜 遊覧の栞』の「森の都」が、現在残っている最も古い資料とされています。

朝の通り。店先に水を撒く人、箱を抱えて横切る人、軒下で立ち話をする人がいて、開いたばかりの店から灯りがこぼれる。朝の飲食店街をイメージした生成ビジュアル
国分町を横切る。奥州街道の街が、いまは東北一の歓楽街
緑道を西へ進むと国分町を横切ります。藩政期の主街道である奥州街道沿いの街で、国分町十九軒といわれた地域には多くの本屋が軒を連ねていました。現在は東北一の歓楽街として知られる一帯です。朝のうちは看板が消えていて、道の幅と建物の高さだけが残ります。
座って休みたいときは、同じ都心部にある錦町公園があります。広々とした芝生広場と、運動遊具が備えられたエリア。ケヤキやイチョウなどの高木が多く、芝生広場を囲むコヒガンザクラはソメイヨシノより1週間ほど早く咲きます。
西公園で折り返す。明治8年開園、市内でもっとも古い
並木の西の端が西公園です。明治8年の開園で、市内で最も古い都市公園。明治時代は桜ケ岡公園と呼ばれていました。園内には蒸気機関車とこけし塔、芭蕉の句碑が立っています。
伊達政宗ゆかりの臥龍梅は、幹が3mほど伏臥しています。仙台空襲で焼けたにもかかわらず翌春には芽吹いたと言われるイチョウの古木もあり、どちらも保存樹木です。整えられた4列の並木を歩いたあとにここへ入ると、木の並び方が不揃いで、地面の起伏もそのまま残っているのが足の裏で分かります。同じ戦災復興で整備された公園なのに、整え方がまるで違います。
園内には明治元年創業の茶屋があり、ずんだ餅・あん餅・ごま餅が食べられます。西公園の紅葉も見頃は11月中旬。折り返さずに帰るなら、地下鉄東西線の大町西公園駅が下車すぐの距離です。

皿に、ずんだ・あん・黒ごまをまとった三種の餅が並び、湯のみと箸が添えられている。奥には古い座敷が見える。三種の餅をイメージした生成ビジュアル
この街の歩き方
東の勾当台公園から西へ歩くと、4列に揃えられた並木から、木の並びが不揃いな西公園へと、整え方の違う緑が順に現れます。朝食のあとすぐ出れば光が低いうちに緑道を抜けられ、帰りは大町西公園駅から地下鉄に乗れるので、歩くのが速くない二人でも同じ道を戻らずにすみます。
| 勾当台公園(起点) | 昭和31年開園・2.69ha、養賢堂跡 |
|---|---|
| 勾当台公園 → 西公園(定禅寺通の中央緑道) | 約0.71km・4列のケヤキ、彫刻3体 |
| 錦町公園(座って休む寄り道) | 芝生広場・運動遊具・ケヤキとイチョウの高木 |
| 西公園(折り返し点) | 明治8年開園・市内最古、こけし塔と蒸気機関車 |
| 色を見る時期 | 定禅寺通・西公園ともに見頃は11月中旬 |
| 行き帰りの駅 | 定禅寺通は地下鉄南北線・勾当台公園駅下車すぐ(仙台駅から2駅)、西公園は地下鉄東西線・大町西公園駅下車すぐ |
